もったいなくなんかない
留学から帰国して、求職活動しながらアルバイトをしていたことがありました。
閉店後バイト仲間と飲みに行くか、ってことになって、キリンシティでビール飲みながら話してたんですが、バイトリーダーが私の出身校を知って、ものすごくびっくりされて、こう言われました。
「音大出で音楽の仕事をしないの⁉︎もったいなくない?」
私はその言葉に心底むかついたんですけど、いろんな仕事先で割と言われることなので、「またか」という思いで、ビールの残りを干しました。
のだめカンタービレの見過ぎです(笑)。
基本的には、音楽大学を卒業しても一般企業に就職するといった道を選ぶ卒業生のほうが圧倒的に多いです。
のだめカンタービレのように指揮者コンクールで優勝したりとかパリ音楽院に留学したりとかそんな華々しい前途など、
「ほとんどございませんっ!」
(のだめの家庭も海苔農家なのにボンと娘を留学させるだけの資金はどこから出したのか、気になります)
ましてや音楽教師など、生活していけるほど安定した収入があるのはほんの一握り。
音楽大学の非常勤講師など「バイトだよ、バイト。しかも交通費ナシの歩合給」(大学の同期の一言)。
音楽大学のパンフレットは所謂「見合いの身上書」みたいなものですから、優等生(たいてい学年トップ1〜3番)の顔写真入り「学生生活について」だの、進路先には「〇〇交響楽団・▲▲ブラスシンフォニー・劇団☆☆・♡♡歌劇団…」
あのね。それ、全員じゃないからね。
眉に唾つけて読んでね。特に有名そうな音大はね。
と、社会の荒波にウン十年揉まれた「元・音大生」は思うのでありました。
私の人生がもったいないかって?
その価値観は人それぞれですが、前述したバイトリーダーの一言は、本音を言うならば
「余計なお世話よ!」
音大を出ずにプロのミュージシャンである人の存在もたくさん知っていますし、順風満帆に見えた首席出の同期がスランプになって音楽やめた例も見てますし、私はあまり大学で親しくしてた友達っていなかったから(他の大学のサークルにいたから)、同期60人それぞれがどんな人生送ってるかも知らないし興味もないんですが(エゴサするのもめんどくさい)、その人が今幸せなら音楽やってようがなかろうが関係ないやん、と思ってます。
私自身のことを申しますと、学業を終えてからほぼすぐに一般企業に勤めました。
29歳で留学するための資金を貯めたかったのと学生支援機構の奨学金を返済するためです。
留学から帰国して半年ほどアルバイトをしましたが、その過程で現在の企業に再就職し、今に至っています。
音楽の仕事をしたり、教えたこともありますが、愛が強すぎて客観的に音楽というものを見れず、自分は自分磨きのツールとして音楽があればいいのかなと思ってます。
そんな人間もいるわけで、もったいなくない人生を送っております。