たのしくおんがく。

音楽のレッスン話などを綴っています。

音楽とは関係ないけど、涙が出た話。

食事をしながらテレビのニュースを見ていて、元農水相事務次官の人が息子さんを刺殺した罪で懲役6年を求刑されたというニュースが流れてきました。

 

とても胸が痛みました。

 

息子さんは、自分の父親はエリートだけど、どこか歪んだ感情みたいなものがあって、中高生の年頃には自分が何者なのかわからなくなって、そんな感情をこじらせて大人になってしまったのだろう、と私は想像しました。

 

 

私にも似たような感情に支配された過去がありましたから、我が事のように感じ、気づいたら涙がすっと流れてきました。

 

 

私は大学2年生の冬に、付き合っていた彼氏から別れを告げられました。

その後、私の親の説得で一旦は仲直りしたものの、なんとなく関係はギクシャクし、3年生の夏に関係を切りました。

 

別れを告げられたときのことは思い出すと地獄絵図のようでした。

精神的に不安定になってしまい、「こんな役に立たない自分を産んだ責任を取れ」と両親に当たり散らし(元事務次官の息子さんもそう言っていたかもしれないです)、「責任が取れないと言うのなら自分で人生を終わらせる」と自傷行為を繰り返しました。

 

失恋だけが理由ではなかったです。

憧れていた夢と、現実の厳しさに直面したこと。

なかなか受からないオーディションの結果にイラついていたこと。

全国から集まってる才能溢れる同期と自分を較べ、なぜ自分は上手くないのだろうと落ち込んだこと。

どんなに努力を重ねても、自分の成績はトップではなかったこと。

 

それらのことが重なり、人生に絶望感を抱いた私は、ある日睡眠薬をストレートのバーボンで飲みくだして救急搬送されました。

3年生の夏休みは、病院の精神科に入院していました。

 

 

事務次官の息子さんも、あの時の私と似ている、と思いました。

彼は、現実と理想と周りの視線とのギャップに苦しんで、苛まれて、もがいていたのだ、と思いました。

うまい言葉が見つからないのですが、ただ、あの息子さんには、過去の、泣きながら両親に「私を死なせてよ!成績がトップじゃない私なんか生きていても価値がない」と訴えていた私と、同じものを感じました。

 

 

あの頃の私が目の前に現れたなら、ただ、黙って強く抱きしめ、こう言うでしょう。

「価値ならある。今辛い思いをしている分、未来の貴女はたくさんの素敵な友人に囲まれて、幸せに暮らしている。だから自分をいじめるのはもうやめて。人の価値は成績やオーディションの結果やそんな、目に見えるものじゃない。愛とか、優しさとか、きれいなものを綺麗だと感じる心とか、人の痛みを理解する思いやりとか、そんな美しい心を持って生きていくことのほうがよっぽど価値がある」

 

 

名著「星の王子さま」にも、「大切なことは目に見えない」とあったけれど、本当のことですね。

 

息子さんの御冥福をお祈りするとともに、元事務次官の方の切羽詰まった思いに心を馳せ、真摯に生きていきたい、笑顔で生きていきたいと心の底から思うのでした。

(涙なしには書けませんでした)