たのしくおんがく。

音楽のレッスン話などを綴っています。

レッスンのパワハラ

パワハラって職場とかのことだけじゃないみたいで、師弟関係のある習い事とかでも起こりうることがあるということを最近知りました。

 

まさか自分がその被害に遭ってしまったとも知らずに。

 

生徒さんは習い事に、家事や仕事の息抜きとか気分転換を求めてやってくる場合が殆どだと思います。

特に大人の生徒さんだと仕事もあって、とても忙しいから、(例えば音楽の習い事だとしたら)練習を充分に出来ずにレッスンに来る場合も多い。

そんなときに「なんで練習してこなかったの!」とか「ここは前もやったでしょう!」とか叱られるとやる気無くしますよね。

 

忙しい仕事の合間を縫ってレッスンに来てるだけありがたいってこと、なんでわからないかなと疑問に思います。

 

私は要領が悪かったし、仕事もきちんとこなさなきゃいけなかったから、勉強や練習をしたい気持ちはあってもなかなか上手くいかず、自分が一番やきもきしているにも関わらず先生から「ここは前もやった!」と言われると、「あああたしって才能ないのかな」って暗澹たる気持ちになってしまうんです。

 

ヘンなことを誤解する人でもありました。

「貴女はプロになりたいって言ってたよね」

…いや、そんなこと一言も言ってないし。本職の合間に楽しくやれればそれでよかったし。

彼女の誤解は私が辞めるまで続きました。

熱心に指導してくれたことは有難く思っています、けれど、最初から「どうなるかわからない将来のこと」を掲げられても、生徒としては重たいだけなんです。

 

教室には上手な人も居ました。

既にプロ歌手として活躍している人です。

その人と引き比べられるのもとても辛かった。

レッスンしてて随所に「〇〇さんはこうしてたわよ」「〇〇さんはあの舞台に出るらしいわ」「〇〇さんは…」

…うるっさい。そんなに〇〇さんの話ばっかりすんじゃねえよ、今目の前でレッスンしてる生徒は〇〇さんなのかよ。ええ加減にせえ。

 

ある日私はブチ切れました。

音楽は好きだけど、この人についてて果たして幸せだろうか。もっと自由にやらせてくれて、楽しくレッスンできる雰囲気を作ってくれる先生についたほうがマシなんじゃないのか。

でも一旦プロになりたいと言ってしまった(覚えてないけど)以上、逃げるのはいけないことなんじゃないか。どうしよう、どうしよう。

 

気づいたら私は自傷行為をしていました。

手首を剃刀で切り、流れる血を茫然と眺めていました。

 

かかりつけのお医者さんから紹介して貰った精神科で、「鬱」との判断を貰ったとき、やっと肩の荷が下りたのと同時に、自分は間違っていなかったという安堵と、先生に対する怒りも混ざって、涙がとめどなく溢れたことを覚えています。

 

 

今でもこの心の傷をときどき思い出して、自分は苦しみます。

何度か裁判を起こすことも考えました。

ただ、症状が軽微なものであったことと(だからといってラクだった訳では断じてない)精神科医のチョイスした適切な内服薬の服用によって、精神的にヤバくなることは避けられました。

でも、もっと落ち込みや希死念慮が強かったとしたら、どうなっていたかはわかりません。

その点では、私は先生を骨の髄まで怨んでいるし、ふと思い出して邪悪な考えを抱いてしまうこともあります。

 

 

人に教えるということはホントに難しいです。

ただ、これからもし自分が人に教えるチャンスが巡ってきたとしたら、自分がされてイヤだったことは生徒さんには決して経験して欲しくないので、対等に、真摯に、向かい合っていきたいと思います。

 

そして、レッスンでパワハラめいたことがもう起きませんよう、と心から願うのであります。