ダメなことはダメ
ピアノを教えていた時、ある生徒さんがとある曲を弾きたいと言って楽譜を持ってきました。
自発的な気持ちは大事だと思い、暫くその曲中心に指導していましたが、いつまでも始めの1小節を繰り返すだけのレッスンが続きました。
これではその生徒さんのためにならないと、ある日断腸の思いで私はこう告げました。
「やりたい曲があるのはいいことだけど、このままではいつまで経っても進まない。この曲はあなたには早すぎる。
譜読みの能力があってリズムも掴めるのなら持ってきてもいい曲もあるけれど、あなたは今それが出来る段階ではありません。
この曲は今日で終わりにしましょう」
そしたら、次の日「辞めます」と連絡がありました。
私は「なんでもいいよー」タイプの教え方はできません。
だって曲にならないじゃないですか。
それを聴かされる人も可哀想じゃないですか。
堅苦しいかもしれないけど、基本的な楽譜の読み方や音楽のルールはマスターして欲しいと思うんです。
楽しければいい、って言う先生もたくさんいるでしょうけれど、それじゃ生徒さんのためにならない。
私はそう考えました。
若かりし頃の少し苦い思い出です。
私は「ダメなものはダメ」と言う教師になるでしょうね。