たのしくおんがく。

音楽のレッスン話などを綴っています。

ギャラのお話

ツイッターを見ていたら「タダで演奏してって言われたことはありますか」というツイートがありまして、とても考えさせられる内容だったので、一筆認めたくなってしまいました。

 

 

私は20代の頃、当時の友人が結婚式を挙げるというので、余興での演奏を頼まれたことがあります。

はじめは友人もとても乗り気だったんですが、私が演奏料の話を切り出すと突然顔色を変えて、「友達でしょ?タダで演奏してくれないの?」と訴えられました。

 

当時は私も若かったので、「なんでそんな足下を掬うようなことを言うの?」と聞き返し、友人も気が強かったので「それじゃあ、他の人に頼むわよ!」と怒鳴られたので、カチンときてしまい「私は専門の勉強をしてるし、投資もたくさんしてきたから。そんなことを言う人に演奏するなんてごめんだわ」と、売り言葉に買い言葉で応戦してしまった経緯があります。

 

いったいどっちが悪かったのか、定かではないのですが、私は間違ったことは言ってはいないと今でも思っています。

 

 

条件の提示がしっかりあって、それに納得したならば私は引き受けます。 

ですがこの元友人の例のように、はじめから「タダでやってくれ」という他力本願的な考えで来られると、自分のプライドはズタズタになりますし、悔しくも悲しくもなります。

 

楽家ではない私の両親は「演奏料っていうのは医療費みたいに相場が決まっているわけではないけれど、アンタの中学時代のピアノの先生は『呈示されたレッスン料金を値切るなんて最低の行為』って言ってたから、声楽のレッスン代は高かったけどなんとかやり繰りして出してやった。基本的にお祝い事のお手伝いには謝礼を出すのは当たり前のこと。それをケチろうなんてみみっちい根性の持ち主なんかこっちから縁を切ってやりなさい」と言いました。

 

私の育った家庭環境は特段お金持ちではありません。

両親は身を粉にして働き、レッスン料を払ってくれました。 

ラッキーなことに貸与ではありましたが奨学金を受け、学費も音大にしては比較的高くなかったので、なんとか勉強を続けることができました(課外授業の学費のためにいろんなバイトをしてましたが)。

 

学業をおさめたあとは、家庭の都合から就職をしましたが、レッスンは続け、29歳には留学を、という目標も果たしました。

決して遊び半分でやってきたわけではありません。

 

私が昼間はOLとして働き、仕事がハネたあと音楽活動をしていることを揶揄する者もいます。

ですが留学先の国では「昼間はOLだけど夜は歌手」というアーティストは沢山いました。

「日本では貴女や私みたいに2つ職業があると中途半端だって言われるんだよ」と言うと、そのアーティストはようわからん、という顔で「日本は窮屈な国ね。私には合わなさそう。貴女も大変ね」と苦笑するのみでした。

女性なら母親である人もいますし、男性歌手でも「俺、昼間は〇〇って花屋で働いてんの」って人も居て、とても驚き、すごいなぁと感心したのを思い出しました。

 

 

話が逸れてしまいましたが、私は両親が言ってくれた言葉を尊重しています。

祝い事の演奏や依頼演奏の際には、お金を包むのが一般的常識だし、それを拒む人間は足下を見ている失礼な人間なのだから、御縁がなかったと思って忘れるようにしています(とはいえこの一件で思い出してしまったのは事実ではありますが)。